コトバのコトバ

ボクキキⅩソフィア編3:わかりあいたい。

ソフィアが、お茶したいと言う。
目的は、お茶じゃない。さっき買った、おみやげグッズをチェキラしたいのだ。

四十八手を、一枚一枚手に取りながら、「こぼれ松葉」はミーシャにあげよう、とか、3人のプレイには名前はないのかしら、とか、ああもうワンセット買っとけばよかった、とか、ぶつぶつハァハァぶつぶつハァハァ言っている。
それを観光客が、エロかおなごやねえ、と、また写真を撮っている。つまり、東京観光の思い出2008=ソフィア。なんかヘンだが、これが国際都市、東京。

ぼくははずかしいから、できるだけ他人のふりをして、お店にあった1ヶ月くらい前のフライデーを、へえ、あのアイドル、こんなおじさんと付きあってるんだあ、なんて見てると、、、れれれ、ソフィアがいない。

カルタは、テーブルの上に、ソフィアがシテみたい順にならべられたまま。
心配になって、探しに行ったら、別のテーブルにいる。しかも誰かと話しこんでる。

なにやってんだ?と思って相手の顔を確認したら、出た!キツネ。つまり・・・!

そーっと近寄り、腕組みをして仁王立ちのぼく。
それを見て、「あ!」&「ア」

キツネのオネーサン、
「今年は、平成何年だったけなあ、それがわからないと平静でいられないなあ、平成だけに・・・うぎゃつはっっはっはっはっはひーんjdk」
と、なにやらぶつぶつ言いながら、店を出て行った、っていうか、逃げやがった。

残されたソフィア、
「隠してて、ごめんなサイ」
いいよ、隠されるのには、慣れているから。

「ワタシは例の女」
知ってる。

「フロム東欧支部」
支部?何か所あるんだ?でも、まあいいや。

「ソフィアは、旅館って知ってる?」
「ニンジャとクノイチがセックスするところでしょ?」
またあのガイドブックか。。。まあいいや。

「ここにくる途中に、小さな旅館があった。おなじスルのなら、せっかくだから、タタミの上でシよう」
「ヒトミは、怒ってないノ?」
「ぜんぜん。それよりも、ぼくも確かめたいことがあるし。ぼくとキミは違うけど、やっぱりおなじだ、で終わりたいし」

その小さな旅館は、大胆にも「金閣寺」という名前で、ソフィアは「ワオ、コレが世界遺産デスね」写真パチパチ撮って大騒ぎ。
ぼくはめんどくさくて、「そうだよ」って言っちゃったけど、またひとつソフィアの国に「誤った日本像」が増えるのかなぁ。首相、ごめんなさい。

部屋に入って、浴衣の二人。お風呂上りのソフィアは、ほのかにミルクの匂いがした。

ソフィア、フトンの上にきちんと正座をして、
「ふつつかモノなれど、よろしくオネガイモウス」
彼女の、日本語の先生は、武士か?

ぼくも正座して、「拙者こそ、お願い申す」
握手のかわりに、甘い接吻。
それでは、「いざ!」

ハダカになったソフィア。
チクビもそのまわりも淡いピンクで、白い肌とのコントラストは、まるで、ヨーグルトとピーチジャム。あまりにおいしそうだったから、食べてみた。

ソフィアは、普段より1オクターブ高い声を出した。
やっぱりおなじだ。ピーチジャムみたいな女の子に出会ったことはなかったけど、ソフィアも、やっぱりおなじなんだ。
そうだよな、これで違ったらさみしいもんな、どうしていいかわからないもんな、ソフィアの言ってたとおりだな、ありがとう。

さあ参るか、比絵衛瑠殿。ピエールも武士のチョンマゲみたいになってる。では、そろそろ、ソフィアに院する也。ソフィアの裸豆辺理井は、いかがでござるか。(もういいよ)

ソフィアの中も、やっぱりあたたかい。これがソフィアの熱。生きている熱。うれしい、やっぱりあたたかい!

おたがい遠い国で生まれて、食べ物も習慣もぜんぜん違う環境で育って、ある日偶然出会って、こうしてカラダを重ねている。どんな二人でも、ひとつになれる。

(妄想中)

人種や宗教や経済や政治や、人が争う理由には事欠かない世界だけど、セックスだけは、ワンルール。

触れば、濡れる。濡れたころには、タッている。その二つ揃えば、イレるしかない。
イレたら、動く。動いたら、気持ちいい。気持ちいいと、声が出る。

みんなおなじだ。肌の色や宗教がちがっても、みんなおなじだ。
そうか!愛だ。まったく違うところから、愛にたどり着ける!!!

(妄想中)

争いは、ひとりひとりのモノサシが違うから起きる。
だったら、セックスをモノサシにすればいい。
戦争をやめて、セックスを!差別をやめて、セックスを!夫婦げんかをやめて、セックスを!
さあ、みんなで、(ギブ ピース ア チャンスのメロディで)♪ワンワールド オブ セックス!ワンワールド オブ セックス!ワンワールド オブ セックス!(こんどTシャツつくろかな)ワンワールド オブ セ、、、

「あのォ、」
あ、ソフィア、ごめん、イレてるの忘れてた。
「やってみたいコトが、あるんだケド」
フトンの横に、並べられた48枚のカルタ。いいよ、そう来ると思ってたから。

「サイショは・・・コレ」
目をつぶったソフィアが指差したのは、「八ツ橋」。
なんて雅な名前のプレイなんだろ。ぼくもソフィアも、初四十八手にわくわくしている。ところが、だ。日本文化は、甘くない。

「八ツ橋」は、別冊解説書「モアベターなフィーリングのために」を読むと、「カラダは不自然だが、密着感はバツグン」と書いてある。
たしかに、あのポイントは密着はするが、比絵衛瑠殿は、骨折しそうである。江戸時代の人は、これでイケたんでしょうか?

「〆込み錦」「〆込み千鳥」「御所車」「浮橋」・・・どれも芸術点が高そうな技で、日ごろの練習が不可欠。
もちろん練習不足のぼくは息が上がってるけど、ソフィアは、それなりに楽しんでるみたい。だって、吸う息で、ハゥウハゥウって声出してるし。あと、二十五。

「押し車」は、まんま部活のトレーニング「手押し車」。
「釣瓶(つるべ)落とし」は、なんとかサンダーボムって、プロレスの必殺技。ソフィア、アタマうちまくり。

「横笛」は、ぼくがキツかった。エキベンの、横になった版、って感じで、腹筋がつりました。両足は、それまでにつってました。笑顔はなくなっていました。カルタが裏向いていくのだけが、楽しみでした。
それでも、ソフィアとチカラをあわせて、カラダをあわせて48枚めを目指すのは、幸せな気分でした。

そして、最後の一枚。
ふたりで、最後はこれにしようねって決めてた、その名も「虹の架け橋」
出会えたことの感謝と、ここまでたどり着いたよろこびを抱えて、虹のアーチのそのてっぺんで、ソフィアはイッた。フィニッシュのセリフは、「ハラショー」だった。