ボクキキⅡツバサ編3:ツバサが飛んだ!
めくるめく(こういうケースで使うんだ、この言葉)快感が快感が快感が→どうかなっちゃいそうだ。
「なにぼーっとしてるの」
大急ぎで現実に戻ると、ツバサさんがまた怖い顔。
「セックスは、気持ちよくしてもらうだけじゃないの。気持ちよくしてあげるの。ぼくが気持ちよくしてあげよう×わたしが気持ちよくしてあげよう=相手を思いやる気持ちが、二人でらせん階段を駆けあがるように、∞につれていってくれるの」
「・・・ごめんなさい」
「キミならきっとできる」
ツバサさんはぼくの手を、ほほから胸、胸から腰、そしてアソコへと導きながら、ゆっくり足を開き始めた。
「ヒトミくん、触ってみて」
さすがにすこし、はずかしそうだ。
「早くぅ」
ツバサさんが、ウイスパーヴォイスで、せかす。
ぼくはコワゴワ右の人差し指で、アソコのまん中あたりに触れてみると、うわあ、いきなり口を開けて指をくわえこもうとした。ぼくは、おっ、おっ、おったまげた。
(なにかいる!中になにかいる!)
ツバサさんは、面白そうに笑っている。
「こりゃなんだ、どうなってんだ、おったまげた、でしょ?」
ぼくはうなずいた。
「でも、ヒトミくんのアレを見て。どういう状態になってる?」
・・・タッてる!
「アタマでは拒絶しても、カラダはそうじゃない。生命と生命がひかれあうって、こういうことなの。脳で考えちゃダメ。ほんとうに大切なことは、カラダに聞けばいいの」
ツバサさんの教え①
「考えるな、カラダに聞け」
「さあ、ココにイレるのよ。考えないで。カラダの欲しがるままに!」
よしっ。
「あなたがイレないと、なにも始まらないの」
いつのまにか、コンドームがつけられている。
頭の中では、ツァラトストラかく語りきが響いている。
ジャジャジャジャーンジャンジャジャジャジャーンジャン。
先へ、進むだけ。
ツバサさんの入り口に触れた。
でも、もう怖くない。
だってカラダが前に、行きたがってる。
さっきのように、ツバサさんの粘液がからみついて来ても、アソコの中にとんでもない魔物が住むとしても、素直に身をまかせよう。
えいっ!
>>>入りました。
ツバサさんは微笑んで、口のかたちだけで(オメデト)って言っている。
ぼくは、ツバサさんの熱をダイレクトに感じている。
いわゆる「体温」など、ヒフの表面温度にすぎないことが、よくわかる。
これが、ツバサさんの生命の熱だ。
「さあ、動いてみて」
ぼくは前後に動いてみた。
「こう、ですか?」
ツバサさんは返事をしない。かわりに甘い息をもらす。
つまり、たぶん、これでいいのだ。
イレヌキイレヌキイレヌキイレヌキイレヌキ/秒。
アタマの中が、真っ白だ。
そのかわり、カラダが言葉にならないものを、精いっぱい感じていた。
なるほどこれが、①考えるな、カラダに聞け。なんだ!
「さあいくわよ」
ツバサさんは、ぼくとカラダを上下入れかえて、マウントポジションをとった。
(もちろん入ったまま)
遊びの時間は終わったのよと言うように、ぼくの上で腰の動きを激しくする。
低く散発的だったツバサさんのアエギ声は、プログラムされているかのように、高くはやく正確にリズムを刻む。
ツバサさんの動きに呼応するように、教えられてもいないのに、ぼくが動いている。
自分が気持ちよくなろうと動けば、相手も気持ちいい。
相手が動けば、自分も気持ちいい。
そうか!セックスはコミュニケーションなんだ!
そうれはそうと、、、(き・も・も・ち・い・い・い・・・)
ああどうしよう。
イッちゃいそうだ。
待てよ。ガマンできない。ダメだよ。ガマンしろよ。しなきゃいけないことがあるだろ。
でも腰が、腰が、腰が止まらないんだよ。
おかあさーーーーん!
ツバサさんの、胸で揺れているストップウォッチが、残り時間を告げている。
残り30秒。
こうやって二人は、高めあいながら、らせん階段を昇っていくんですよね。
たまんないです。いいもんですね、セックスって。えええい、ぜんぶ出してしまえ。
どうなっても、構うもんか!・・・おかあさん、ごめんなさい。。。なに言ってるんだ、それはダメだ。冷静になれよ、ヒトミ。
残り20秒。
ツバサさんを見上げると、なぜか苦しそうな顔。
その腰の運動は、激しさを増すばかりだというのに。アエギ声はうなりを上げているというのに。きれいなかたちの胸も、大きく波打ってるというのに。
(もしかしたら、そうなのかも)
ある日突然、帰って来なかったおとうさん。
カラダを離せば、ひとはどこかへ行ってしまう。カラダをひとつにすれば、どこへも行かない。すくなくともその間は。だからみんなとセックスを?
でも、ツバサさんの閉じている目が探しているのは、声を張りあげて呼んでいるのは、きっとおとうさん。
ん、待てよ、この感じ、なんだっけ?昇る?高く?
これは、ツバサさんのこの動きは、このアエギ声は、そうか、そうだ!
滑走路で加速する飛行機そっくりだ!
つまりツバサさんは、いま、離陸しようとしている!
残り15秒。
いまぼくにできることは、そう、一つしかない。
ぼくは両手をツバサさんの脇のあたりに差しいれて、自分の両方のつまさきをツバサさんの太ももにピッタリあてて、4つのポイントを決めた。
離陸する瞬間に向かって、加速を止めないツバサさん。
声をかける。
「レディ?」
ツバサさんが、うなずいたように見えた。
「ゴー!」
ぼくは、両手両足にちからをこめて、ツバサさんを高く上空へと持ち上げた。
子供のころやってもらった、「ヒコーキ」だ。
ぼくは自分のおとうさんの顔を知らない。でもヒコーキされた記憶がある。
楽しかった。頼もしかった。
身を委ねられる、大きな存在を感じた。
パイロットのお父さんがやらなかったはずはない。
今日はぼくに身を委ねてください。おとうさんの代わりはできないけれど。
残り10秒。
「飛んでる・・・パパ、わたし、飛んでるよ。飛べたよ、わたし、飛べたんだよ」
ツバサさんが、はるか上空から叫んでいる。
離陸、成功。
「ありがとう、パパ。会えるよ、もうすぐ会えるよ」
こぼれる涙が、ぼくの顔も濡らす。
残り5秒。
快感をガマンしていたのが、もう限界のようだ。ぼくのアレがぷるぷる震えはじめた。必死にこらえていたものが、爆発しそうだ。
ごめんなさい、おかあさん、でもこんなに女の人とわかりあえた。他人のためになれたんだ。おかあさんならほめてくれる、だよね?あああ、もう、イキマスデマスゴメンナサイ。
そのとき上空から降ってくるもの!
ツバサさん、まさかの墜落!
そして、まるでけん玉棒と穴のように、ツバサさんのアソコがぼくのアレに、
スコーンとスポッとズボッと、とにかく>>>>>入りました。
ツバサさんは、大絶叫。イキました。
最後に薄目を開けてぼくを見て、
「ありがと、う。ヒトミくん。いい男になってね。がんばって」
そして、目を閉じた。
満ち足りた、やわらかな寝顔だった。
胸のストップウォッチは、残り1秒を指していた。
ツバサさんを寝かし、大の字になって、部室の天井を見上げる。
たしかに忘れられない日になりそうだ。
そのとき、視界に飛びこむ顔!
あなたは!
「今日はいったいなんの用ですか?」
「今日は、たまたま勝てたけど、」
キツネのオネーサン登場。
「いつもラッキーはないわよ」
と言いながら、スタンプカードにハンコを押してくれた。
「これ、持って行きなさい」
バイブ?
「名前は、ファンタジスタ。あなたひとりじゃ、頼りないから」
とりあえず、ありがとう。
「彼、いい動きするよ。動くために生まれてきたんだから」
オネーサンは、ウインクして出て行った。
ほんとうに始まったんだ。
つぎはだれだ。
ぼくは、ファンタジスタをにぎりしめたまま、立ちつくしていた。
全裸で。胸を張って。だらーんとさせて。